


- 高木
- 現在80アイテムで、人気があるのはクリームパンです。ブリオッシュ生地なので口溶けが良く、菓子パン生地よりカスタードとの相性が良いです。バニラビーンズ入りのオイルを使っています。その他に人気なのはメロンパンやバナナブレッドというパウンドケーキみたいなタイプのパンですね。
- 竹谷
- (クリームパンを食べながら)うん、歯切れがよくて、おいしい。これいくらなんですか?
- 高木
- 130円です。
- 竹谷
- えーっ、このクリームパンが130円? 安いなあ。
- 高木
- お客様が喜んでくれればいいのですが、従業員にも還元したいです。そういう意味ではもうちょっと高くして、利益を出すようにしてもいいかもしれないですね。
- 竹谷
- 客数はどれぐらいですか?
- 高木
- いま1日250人ぐらい。日商は20万弱、土日は25万ぐらいになりますね。もう少し作れれば30万はいけると思います。客単価は800円ぐらいですね。
- 竹谷
- 製造は4人なのですか?
- 高木
- はい、製造は私を入れて4人で、サンドイッチ担当は別にいます。私は常勤していますけど、他のみんなは労働時間8時間です。朝から晩まで勤務している人はいないですね。
- 竹谷
- 従業員の勤務時間8時間は立派ですね。
- 高木
- オリジナリティのあるパン屋さんは結構ありますが、私はどちらかというと正統派を目指しています。仁瓶利夫さん(ドンク顧問)のフランスパンや、明石克彦さん(ベッカライ・ブロートハイム)のドイツパンをひとつの理想にしています。お客さんの驚きにはならないかもしれないけど、じわじわくるような普通のパンがおいしいっていうのが理想です。フランスパンがびっくりするほどおいしいってなかなかないですけど、毎日食べて「この味が好きだな」っていうぐらいの、なんとなく浸透していくようなパンを求めていきたいのです。
- 竹谷
- ブロートハイムで修行をしたのですか?
- 高木
- 修行はしてないですが、飛び込みでやらせていただいています。売り場でパンを選んで教科書に出ているような普通のだと思っても、食べておいしいのはブロートハイムのパンですね。食パンもいろいろ買って食べてみて、最終的においしいのはブロートハイムだと思うんですよね。見た目は一見地味かもしれないけど、おいしさが最終的にお客さんの印象に残る。だから自分は見た目の印象より、味の印象を残したいですね。
- 竹谷
- 夢はベーカリーカフェ開店ですか?
- 高木
- そうですね。本当は自分で一軒家を建ててベーカリーカフェをオープンしたい。だけど、土地が高くて建物込みだと7000万ぐらいかかってしまいます。だったら賃貸でも、チャンスがあれば実現させたいですね。


【高木宏直氏プロフィール】
昭和46年(1971)生まれ。高校3年のとき、前橋のドンキ-でアルバイトをしたことがきっかけで、そのまま入社。23歳でオーストラリアに留学のあと、再びドンキーに復帰、都合10年勤める。その後、料理の勉強のためカフェでも修行し、2004年9月に前橋市内にグランボワをオープン。「欧風パン」という看板を掲げ、オーソドックスなフランスパン・ドイツパンを指向する。開店後も、常に技術を磨くことを忘れない。ときには徹夜で仕込みを終わらせ、勉強会・講習会に出かける。
定休日/月曜日 営業時間/9:00~19:00
前橋の高級住宅街として開発が進む川原町。他に美容室などが入居するおしゃれなショッピングモールで営業中。広い道路に面し、出入りしやすい駐車スペースも十分に確保している。20坪の店に8坪ほどの売り場。すっきりとパンが並べられる。力を入れているのは食事パン。ドイツパンは日替わりで毎日2種類、ベルリナラントブロート、ロッゲンシュロットブロートなど。フランスパンも、カンパーニュなど、パン・ド・ロデヴなど、シンプルなパンに加え、バゲットを大きく焼いたファンデュ(ドゥーリーブル)、リュスティック生地にカシュナッツ、パン・ド・ロデヴにドライフルーツをたっぷり入れたパン・オ・フリュイなどバリエーション豊か。サンドイッチも、ヴィエノワ、胚芽バンズ、食パンなどさまざまなパンを使い、農家から仕入れた食材を使ったサンドイッチやイタリアン風の「バジリコチキン」など、カフェでの経験を活かしたユニークなものを供する。人気があるのはクリームパン、メロンパン、バナナブレッドなど定番のもの、食パン型で大きく焼いてたくさんのチョコを入れたブリオッシュ・ショコラ、お年寄りや子供にも親しみやすい黒糖ピーナツ(コッペパン)など工夫を凝らす。
まさにそれは晴天のへきれきとでも言いましょうか、日清製粉さんの一声で実現された今回の対談でした。竹谷さんにお店に来て頂きパンを食べて頂き、そしてパンについてパン屋についてじっくりお話させて頂くというこれ以上ない幸せな一日となりました。
竹谷さんの包容力に甘えそうになってしまいましたが、まだまだ納得できるパンが作れている訳ではないので、いずれ「いいパン作るようになったね」と言って頂けるよう精進したいと思います。
これからも御指導御鞭撻のほどよろしくお願い致します。
お店の環境がとても良い、前橋の代官山と言われるだけあって高級住宅と群馬大学の緑に囲まれ、駐車場もゆったりと奥様でも安心の駐車スペースを確保している。訪問したのがアイドルタイム、それでも途絶えることなくお客様が来店し目的のパンをトレーに取っている。パンの顔が良い、美味しく焼くためには必要な大きさも有るが忠実に実行している。今回で群馬3人組の3人を取材させていただいたが、熱心さ・方向性は皆同じだが、持ち味は良い具合に違っている。高木氏は凝り性・職人タイプというかパンにドップリはまりこむタイプ。今年のブレッドキャンプは群馬3人組がここ群馬で企画している。3人の持ち味を存分に生かして素晴らしい内容になることを期待している。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2013年7月)のものです。最新の店舗情報は、別途店舗のHP等でご確認ください。