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女性客を獲得するカフェスタイルのめんメニュー

1990年代後半から始まったカフェブームは一段落したものの、未だにオリジナリティのあるカフェの出店は続いています。その流れにおいて「フードメニュー(カフェめし)の充実」はこの数年のテーマになっており、最近はラーメンやうどん等の「めんメニュー」を打ち出すカフェが出てきました。オリジナリティと徹底したこだわりで女性客をつかんでいる人気のカフェをレポートします。
プルーカフェ

 銀座のオフィス街の一角にオープンカフェスタイルの「プルーカフェ」があります。東京メトロ銀座一丁目駅から徒歩3分で、周辺には多くのデパートやブティックがあります。平日休日共にビジネスマンだけでなく女性が多く行き来しているエリアです。同店のインテリアは落ち着いた雰囲気で、買い物や仕事の合間に食事や喫茶で利用するお客様が来店しています。ロコモコやカレー等のカフェで一般的なメニューもありますが、この店の一番人気メニューはラーメンです。ラーメンが人気のカフェ「プルーカフェ」についてレポートします。

■ プルーカフェ
住所:東京都中央区銀座一丁目14-9
電話:03-3535-0516
定休日:なし
営業時間:
月~木 11:30~23:30
金 11:30~翌1:00
土 11:30~23:30
日・祝 11:30~20:00

● 美味しくてこだわりのラーメンを提供するカフェ

山村店長
 元々山形ラーメンの店を経営していたオーナーが、ラーメン店とは異なるカフェを銀座一丁目に出店しました。近隣のデパートやブティックの来店客や女性従業員が見込まれる事から「女性1人でも美味しいラーメンを食べていただけるカフェを目指しています」と山村店長は語ります。その言葉通り、女性客を中心に毎日80~100食のラーメンを提供しているそうです。

● 風味が豊かなこだわりの
 「山形ラーメン」「山形水(やまがたみず)ラーメン」

 同店の「山形ラーメン」は中太の縮れ麺で、コクはあるが脂っぽくない澄んだスープが特徴です。「山形水ラーメン」は冷たいスープのラーメンで、冷たいスープは麺に絡みづらい為温かい「山形ラーメン」より味を濃くしてあります。出汁を凍らせた氷をスープに浮かべているため、冷たいまま最後まで食べる事が出来、またスープが薄くなる事がありません。この他に豆乳のスープにハーブティの氷を浮かべた「氷花豆乳ラーメン」があります。
 これら「山形ラーメン」「山形水ラーメン」「氷花豆乳ラーメン」の3品はさっぱりした味わいですが、対象的に濃厚な味わいなのが「油ラーメン」と「トマトラーメン」です。「油ラーメン」は、ネギや水菜など野菜がたっぷり入っている為、スープを濃い目にしてあります。「トマトラーメン」はトマトベースのスープに、チーズやベーコン、バジルを合わせており、イタリア料理のような独創的なラーメンです。
山形水ラーメン
油ラーメン
 全てのラーメンスープは、煮干しを24時間水に入れてから魚介類を30時間煮込んでいます。チャーシューやメンマは手づくりを基本とするなど、ラーメン専門店と同様にこだわっています。また1食160gの生麺を使用して、女性にとって食べ応えが十分にあります。
 女性向けのハーフサイズのラーメン、デザート(シフォンケーキなど)とコーヒーのセットが人気です。夜に来店する女性客は、アルコールやおつまみで友人との会話を楽しんだ後にラーメンを注文することが多いようです。 このように手間暇をかけて、こだわり抜いたラーメンを提供しているからこそ、女性客の心をつかみ話題になっているのだと思われます。

めん、色いろ。いつでも、おやつ。新宿

 JR新宿駅の駅ビル「ルミネエスト」7階のレストラン街に「めん、色いろ。いつでも、おやつ。新宿」があります。大きめの座席にクッションが置かれ、ゆっくりと食事が楽しめる空間です。メインメニューは、店名からわかるように「めん(うどん)」です。 夕方のピークタイム時は若い女性ばかりで、うどんを食べた後に、デザートを食しながら会話を楽しむ女性グループで賑わっています。岸良(きしら)店長にお話を伺いました。

岸良店長
■ めん、色いろ。いつでも、おやつ。新宿
住所:東京都新宿区新宿三丁目38-1ルミネエスト7階
電話:03-5368-3032
定休日:不定休(ルミネエストに準ずる)
営業時間:11:00~23:00
※同じ店名の「めん、色いろ。いつでも、おやつ。」は、池袋(東京都豊島区)、武蔵小杉(神奈川県川崎市)にも出店しています。

● 同店の人気メニュー「うどんとおやつのセット」

 人気のメニューは「うどんとおやつのセット」で、うどんと飲み物の他に、なんとおやつ1品がセットになっています。時間帯によりおやつのメニューは変更され、かぼちゃのモンブランやミルクプリンなど洋菓子系から、手まり寿司や炊き込みごはんのような食事系までバラエティ豊かです。常に8種類程のおやつが「おやつコーナー」に並びます。着席してオーダーした後に、「おやつコーナー」で好みのデザートと飲み物を選んで自分で席に運びます。
 同店は全国主要都市で和カフェやおばんざい、焼鳥などの飲食店やウェディング事業を展開する株式会社商業藝術によって運営されています。駅ビル「ルミネエスト」には、10代後半から20代前半の女性をターットにした店が多くあり、同社は出店にあたり業態開発から始めました。その結果、若い女性がうどんを食べた後、デザートを食してくつろぐ事が出来るカフェとして開店しました。
おやつコーナー
● 「体にやさしいうどん」を食べて、ゆったりした空間で会話を楽しむ

 うどんはメニューにより五穀やゆず、かぼちゃなどを練り込んで特徴を持たせています。また野菜や和の食材を中心に、鶏肉は蒸したり煮込んだりして余分な脂を除いて調理するなど、体にやさしいメニューに仕上がっています。おやつは、うどんの後に食べられるように小さめの皿で提供されており、少しずつ味わいながら楽しむ事が出来ます。
 東京の池袋と神奈川の武蔵小杉にも出店しており、池袋店は同じ「うどん専門店」でデザートと飲み物はビュッフェスタイル、武蔵小杉は野菜を練り込んだリングイネやフィットチーネの「パスタ専門店」です。このように、立地による客層の違いによりメニューを変えています。
 食事が済んだら席を立つうどん店が多い中で、「うどんメニュー」をメインに、食後に好みの「おやつ」を選んで、会話を楽しめる明るくゆったりしたカフェがこれから人気を集めそうです。
温泉玉子とチーズの明太子クリームうどん(ゆず)
厚切りベーコンのカルボナーラうどん(かぼちゃ)

もりずみキッチン

森住康二シェフ
 東京ドームに併設されている商業施設「ラクーア」のレストラン街に、カフェ・カンパニー株式会社が展開するラーメン店「もりずみキッチン」が2013年7月にオープンしました。「ラクーア」は東京メトロ丸ノ内線、南北線の後楽園駅から徒歩3分で利便性が良く、レディスファッションを買い求める20~30代の女性が主な客層です。また週末には家族連れや、地方からの観光客の来店が多く、幅広い客層から人気を博しています。
 カフェ・カンパニー株式会社が空間デザインを、ミシュランで一つ星を獲得した森住康二シェフがメニューの監修を行った、これまでにないカフェスタイルのラーメン店についてレポートします。

■ もりずみキッチン
住所:東京都文京区春日1-1-1
  東京ドームシティ ラクーア2階
電話:03-5840-7065
定休日:施設の休みに準ずる
営業時間:11:00~22:00

● カフェを中心に各種事業を展開する「カフェ・カンパニー株式会社」

 同店を展開するカフェ・カンパニー株式会社は、カフェを中心とした幅広い事業を展開しています。「直営店事業」では、「ワイアードカフェ」などを中心に首都圏77店舗を展開しています。「地域コミュニティ事業」では、サービスエリアでご当地食材使用の飲食店を展開しており、物販などを通じて地域の魅力を広く発信しています。この他に、企業とのコラボレ-ションによる「カフェプロデュース事業」、商業施設のデザイン設計を行う「スペースデザイン事業」、商品の企画販促を行う「プロモーション事業」など事業は多岐にわたります。このような企業が、ラーメンを提供するカフェスタイルのラーメン店を展開したのは、「めんメニュー」の魅力に注目したからだと思います。
● 手間暇かけて素材の旨みを引き出した「安心して毎日食べられるラーメン」

 「ラクーア」にはショッピング目的のほか、東京ドーム観戦、外国人を含めた観光、近隣のビジネスマンなど幅広い客層の来店が見込まれますが、メインターゲットは「女性」に定められています。
 決して沸騰させずに手間暇かけて鳥や魚介などの素材の旨みを引き出したラーメンスープを、かえしを使用せず醤油だけで割って、素材の味を際立たせています。スープとの相性を考慮して、平打ちの手もみ麺には中力粉を使用し、食感を楽しめる仕上がりになっています。化学調味料を一切使わず塩分控えめでヘルシーな「安心して毎日でも食べられるおいしさ」は、まさに女性をターゲットにしたラーメンと言えます。澄んだスープには 20種類の素材が凝縮しており、高栄養価なのに塩分・カロリーは控えめで、最後の一滴まで味わえます。

<ラーメンメニュー>
彩り野菜とハーブの熟塩らぁ麺
旨みそば
特製醤油らぁ麺
旨みが詰まった、澄んだ味わいの醤油スープが特製平打ち麺によく絡む「もりずみキッチン」のスタンダードなラーメンです。
彩り野菜とハーブの熟塩らぁ麺
細かく刻まれたトマトやハーブ、ブロッコリーなど具沢山で、塩糀ならではの練れた旨みを活かしたスープで、「見た目」も意識した鮮やかな盛り付けです。
“浮麹(うきこうじ)”味噌らぁ麺
信州味噌をあえて裏ごしせず糀の素材感を存分に活かした、しっかりとした味わいです。
旨みそば
かき油、しょうゆ、オリーブオイルが織りなす旨みのハーモニーを味わい尽せます。
ざるらぁ麺
コクと酸味をあわせ持つ特製のつけ汁と麺のコシをシンプルに味わえます。
このようにオリジナリティに溢れる安心して食べられるラーメンを、カフェスタイルの客席でゆっくり味わえる点が、お客様の支持を得ているのではないでしょうか。

 今回ご紹介した店に共通しているのは、「メインターゲットである女性客の視点」で「専門店以上のこだわりとオリジナリティのあるめんメニュー」を提供している事です。製麺業の皆様には、カフェがラーメンやうどんの新たな販路になると思われます。女性客の視点で、カフェのめんメニュー開発のお手伝いに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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