北総線の新柴又駅を降りて、柴又街道を100mぐらい歩いていくと、左前方に見えてくるレンガ色のお洒落な佇まいのお店が「ビスキュイ」です。
1997年に駅のテナントにオープンし、2004年に現在の場所にリニューアルオープンしました。デコレーションケーキが豊富に並んだショーケースの隣には、カットケーキが常時55種類以上の他、20種類以上のマカロンや、焼き菓子も取りそろえています。地元だけでなく、遠方からも「生パウンド」(1,200円)やカットケーキ等を求めるお客様が多数来店しています。
「『生パウンド』はあるメーカーさんからヒントをもらって『やってみようかな』と思ったのがきっかけです」(シェフ 駒水純一郎さん)
駒水さんは「生パウンド」を初めて見た時、長さ約25cm高さ9cmのボリューム感をとても気に入りました。
「生パウンド」はお子様からお年寄りまで、誰もが食べやすいスポンジのような生地とスポンジの中に生クリームが入っているのが特徴です。
発売当初は、東京都内で扱っている店が少なく珍しかったのですが、今後は売り出す店も増えてくるだろうと考え、シャンティ(生クリームに砂糖を入れたもの)だった生クリームを、卵黄・牛乳・グラニュー糖などから作るアングレーズソースとあえたトロっとした生クリームに改良しました。今では、ほぼ毎日完売しています。
ショーケースには『生パウンド』の他にも様々なケーキが並び、素材の仕入れ状況によって、「こんなものを作ってみよう」とアイデアを膨らませ、多い時には1カ月に15種類ぐらいの新商品を出すこともあります。
例えば、桜の季節には、昨年好評だった商品から今年の新作まで、桜にちなんだ商品が数種類並び、定番商品のモンブランも3種類あるそうです。作り手の好みではなく、お客様に選ぶ楽しみを味わって頂きたいという想いを込めています。
「誕生日ケーキやクリスマスケーキなどの豪華なデコレーションケーキとは違い、普段使いで気軽に楽しめるのが『生パウンド』です」(駒水さん)
手土産として購入されるお客様が多く、贈答用というより「一緒に食べましょう」と気軽に食べられるのが好評の秘密のようです。
「最近は、デパート等でも『生パウンドケーキ』を売っていますが、生地を焼いて、冷まして、生クリームを出来るだけたくさん入れて膨らませてという作業を、その日の朝に出来るのは個人店の強みです。そこは絶対に手抜きはしません。お菓子に限らず、職人がこだわりをもって真心を込めて作ったものは美味しい。そこは絶対に忘れてはいけないと思っています」(駒水さん)
「普段使いで楽しめるおやつ」という視点は集客のキーワードかもしれません。
JR八王子駅北口からユーロードを通って、甲州街道を渡ると左側に鮮やかな青い扉のパン屋さんが見えてきます。
Boule Beurre BOULANGERIEは2006年2月開業。ハード系のパンが7割を占めています。TV等でも紹介された独創的な「セロリチーズ」や低温長時間発酵で作られる甘みのある「バゲット」は特に人気です。
日替わりで様々な種類のパンが並ぶ、自称「八王子で一番小さいパン屋さん」のパウンドケーキを紹介します。
※移転により下記のとおりに、住所・TEL・営業時間・定休日が変更になりました。
住所:東京都八王子市横山町16-5/TEL:042-626-8806/営業時間:10:00~19:00/
定休日:火曜・月曜
「良い素材が手に入った時に、それにあった商品を考えて提供するスタイルです。結構きまぐれです」(店長 草野武さん)
開店当初からある「ウイークエンド・オルディネール」(1,300円)という、生地にも上掛けにもレモンを使う爽やかな味わいが人気のケーキがあります。パウンド型で焼きあげますが、作り方は通常のパウンドケーキとは全く違う、フランスの家庭で週末に食べられるケーキだそうです。
本来はレモンで作るのが一般的ですが、レモンを柚子に変えた柚子味もとても人気です。
バレンタインデーの時期には、販売員で元パティシエの鳥居ひとみさんが考案した「ショコラのパウンドケーキ」がお客様からとても喜ばれました。
開店当初は、草野さんがパウンドケーキを作っていましたが、現在は草野さんのイメージを元に鳥居さんが作っています。「イメージ通りに作ってくれるおかげでお客様からの評判がとても良いです。今では週替わりなどで色々な味のものを提供できるようになりました」(草野さん)
季節の素材を使うことを一番に心がけているそうですが、どうしても手に入らない時期には、紅茶や抹茶などを使って、少し違った雰囲気の商品に仕上げています。
バゲットが人気のお店ですが、パウンドケーキをおやつとして一緒に購入されるお客様が多いそうです。頻繁に新しいパウンドケーキを出せるようになったことで、お客様も新しいパウンドケーキを楽しみに来店して下さいます。
新しい商品にチャレンジし続ける草野さんの原点は、修業時代にあります。師匠である杉山洋春さんはパン職人として素晴らしい腕の持ち主であると同時に、お客様に対する気配りも素晴らしく、常にお客様をイメージして考える人だったそうです。
「ご年配の方々にパンを持っていく時には、クルミ入りの餡からクルミを外して食べやすくしていました。新潟で震災があった時には、水分の多いしっとりしたお菓子を作り、それを震災翌日に軽自動車で一人で小千谷まで届けに行ったこともありました」(草野さん)
後日、小千谷の高校から連絡があって「炊き出しのご飯ではなく甘いものが食べたかった。私たちが本当に欲しかったものを届けてくれてありがとう」と感謝されたそうです。
「杉山さんの精神を受け継いで、皆様から喜ばれる店作りをずっとしていきたいです。お客様の身になって、今何を求めているのか、どんなサービスを提供すればいいのか、日々考えながら商品づくりに励んでいます」(草野さん)
TARUI BAKERYは小田急線参宮橋から徒歩2分という立地にあります。
自家製天然酵母で有名な「ルヴァン」出身の店主が経営するお洒落なパン屋さんで、レーズンとクルミが入っているハード系の「ルヴァン」、「バナナブレッド」、練乳とバターのクリームが絶品の「ミルククリームサンド」などが人気です。
隣にはコーヒースタンドがあり、「TARUI BAKERY」のパンを持ち込んでコーヒーと一緒に召し上がることが出来ます。週末ともなると若い人たちや外国人のお客様で店内はいっぱいです。
「ルヴァンに勤めていた頃は、毎日食べていた大好きなカンパーニュ。昔ながらの製法で作られていて、玄人受けする本格的な味わいでした。
TARUI BAKERY』のカンパーニュはルヴァンのものよりも更にしっとり、やわらかく作っています。自家製の酵母の風味は残しつつ、食感を楽しんでもらえるように工夫しています。『食べやすい=美味しい』と思えるパンを作りたいと思いました」(店主 樽井勇人さん)
2012年4月17日に開店。当初はハード系の固いパンしか焼いていませんでした。それまで食パンはきちんと作ったことがなかった樽井さんですが、本を見たり、食パン作りの経験があった従業員から色々と教わったそうです。
「生地がどうなったら大丈夫なのか?そういうことを理解して安定して焼けるようになるまでに1年は掛かりました」(樽井さん)
共に働く従業員には、日々、感謝しているそうです。
パウンドケーキ(バナナブレッド)をお店に置くようになったのは、開店してしばらく経ってからです。「ルヴァン時代の先輩のレシピをベースにしたバナナブレッドを置きたい」と開店当初から奥様の静(せい)さんと考えていたそうです。
「ルヴァンの商品ではありませんでしたが、先輩が作ってくれる『バナナブレッド』が絶品で、そのレシピをノートに書き留めていました」(樽井さん)
そのレシピを改良し、てんさい糖をきび砂糖に変え、甘みを増したバナナブレッドは、今では「お店の人気商品になっています。
この冬から、バナナブレッドの新商品としてスパイス系の「ジンジャーバナナブレッド」も登場しました。今後も「バナナブレッド」の新商品や、柑橘系のさっぱり味のパウンドケーキにも挑戦するそうです。
「バナナブレッドはシンプルであるがゆえに、バナナの状態を正しく把握することが大切です。バナナのシュガースポット(甘みが増してきて熟してきた記しの斑点)が出るタイミングを狙って作らないと美味しくないだけでなく、しっとり感も香りも甘みも出ません」(樽井さん)
シンプルだからこそきちんと基本を守ることが、人気商品の秘訣だそうです。
「自分の舌でバナナが本当に美味しい状態になったところをしっかり感じなさい」と教えてくれた先輩の言葉を今でも忠実に守り、お客様に愛されるバナナブレッドを作っています。
代官山駅から歩いて5分ぐらいの場所にエニスモアガーデンはあります。
隠れ家的な雰囲気のパウンドケーキ専門店です。ショーケースには見本のケーキが並び、各種贈答用のBOXも飾られていて、ジュエリーショップのような高級感があります。
代官山店の他にも、日本橋三越店にも出店しており、商品は横浜の工房で一つ一つ丁寧に作り上げています。
同店で取り扱うパウンドケーキには長方形と正方形のものがあります。正方形のものは、長方形のものを半分に切るのではなく正方形のパウンド型で焼いており、そこにこだわりがあるそうです。種類の異なる2種を組み合わせて長方形サイズの箱に入れ、様々な組み合わせを楽しむことが出来ます。
「カットしたものは売っていません。カットすると風味や香りが損なわれます。お客様から『切るのが面倒』などと言われる時もありますが、カットをするとどうしても乾燥してしまいます。パウンドケーキは生きているといっても過言ではないくらいにデリケートなのです」(シェフパティシエ 鈴木亜実さん)
エニスモアガーデンのパウンドケーキの特徴としてクッキー生地が敷いてあります。しっとりとしたゴマ味のパウンドケーキにアクセントを付けるために敷いたのがきっかけだそうです。
今年の4月から、季節限定品として、有機レモンをジャムにして生地に練り込み、酸味と程良い苦みも味わえる「レモン」を販売することになりました。
「今までは素材、特に小麦粉の美味しさを味わって頂きたいと思い、お酒は使ってきませんでした。アルコールで粉の味が損なわれないように試行錯誤を続けました。すべての商品に共通していますが、お砂糖も三温糖のやわらかい甘さなので、小麦粉の味が活きています。甘さを控えた、もっと食べたいと後を引くぐらいの味が良いのではないかと思っています」(鈴木さん)
素材本来の風味を損なわないように、保存料、乳化剤、着色料、ベーキングパウダー等は使用せず、卵の力で生地を膨らませています。
パウンドケーキは元々イギリスのお菓子で、「エニスモアガーデン」という店名は、イギリスに実在する公園にちなんで名付けられました。
「ケーキ作りに際しては、伝統的なレシピの良さをどう出すかということも加味して作りました。フランスの素材への思い入れもあるもので、色々と混在していますね」(鈴木さん)
パウンドケーキに黒ゴマをたっぷり入れるアイデアは、「ゴマのコクのある甘さをケーキに活かせるのでは」というひらめきがベースになっているそうです。
専門店として伝統的なレシピを活かしながらも、柔軟な発想を取り入れた独自のパウンドケーキを提供することで多くのお客様に支持されています。
※店舗情報及び商品価格は2014年12月現在のものです